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本記事では、マネタリー・ベースとは何か?、マネーサプライとは何か?について、誰でも、1分間で理解できるように数式や具体例を用いてわかりやすく解説します。
マネタリーベース
中央銀行が発行する貨幣の総量を示す指標であり、世の中に直接的に流通する通貨の総量を示す。※別称、ハイパワードマネーとも言います。
マネタリー・ベースは以下のような式で表されます。
MB = 中央銀行貸出 + 中央銀行預金(準備預金)
ここで、MBはマネタリー・ベースを表します。中央銀行貸出は、中央銀行が金融機関に対して貸し付けたお金の量を表し、中央銀行預金(準備預金)は、金融機関が中央銀行に預けているお金の量を表します。
例えば
日本の場合、2021年3月時点の日本のマネタリーベースは約575兆円で、その内訳は以下のようになっています(日本銀行統計データより)。
- 現金通貨:105兆2,321億円
- 預金通貨:469兆9,184億円
現金通貨には、市場で流通している紙幣や硬貨が含まれ、預金通貨には銀行の中央銀行預金が含まれます。中央銀行は、銀行が必要とする中央銀行預金を供給することでマネタリーベースを増やすことができます。
流通現金
現在市場で取引されている現金の総量を指します。つまり、現在銀行や個人などが保有しているが、市場で流通していない現金を含みません。
流通現金 = 日本銀行発券高 + 貨幣流通高
= 硬貨の枚数 × 硬貨の単位 + 紙幣の枚数 × 紙幣の単位
マネーサプライ
市中銀行が市中に供給する通貨の量を指し、マネーストックとも呼びます。
市中銀行は中央銀行から貸出を受けることで、自身が持つ預金残高を上回る額の貸出を行うことができます。この貸出によって市中に新たな通貨が供給されるため、マネーサプライは市中銀行の貸出によって影響を受けます。また、マネーサプライの変化は、インフレーションやデフレーションなど、経済に大きな影響を与える要因となります。
マネーサプライは以下のように表すことができます。
マネーサプライ = 現金通貨(貨幣供給量) + 預金通貨(銀行貨幣供給量)+その他の通貨
= 現金通貨量(M0) + 預金通貨量(M1) + 時間預金通貨量(M2) + その他の預金通貨量(M3)
ここで、M0は中央銀行が発行する現金通貨の量、M1は銀行口座に預金された通貨量、M2は定期預金など時間がかかる預金の通貨量、M3は投資信託や株式など金融資産としての性格の強い預金の通貨量を表します。
例えば
日本の場合、2021年3月時点のマネーサプライは以下のようになっています(日本銀行統計データより)。
- M0(貨幣流通量):103兆8,460億円
- M1(狭義貨幣量):757兆3,700億円
- M2(中庸的貨幣量):1,973兆1,900億円
- M3(広義貨幣量):2,012兆7,100億円
このように、日本のマネーサプライの総量は膨大な額になっています。
M0には、市場で流通している現金の総量が含まれており、M1には当座預金や普通預金などの預金通貨が加えられます。さらに、M2やM3には定期預金や国債などの金融商品も含まれています。
広義流動性
広義流動性=M3+金銭の信託+投資信託+金融債+銀行発行普通社債+金融機関発行CP+国債+外債
貨幣乗数
市中銀行が貸し出したお金が、経済全体にどれだけの影響を与えるかを示す指標です。マネーサプライ(市中銀行が流したお金)がマネタリーベース(中央銀行が流したお金)の何倍であるかとも表すことができます。
貨幣乗数は、以下の式で計算されます。
貨幣乗数 = 1 / 預金準備率
預金準備率とは?
銀行が預金者から預かったお金のうち、どれだけを準備金として保有しているかを示す割合です。銀行は、預金者から預かったお金の一部を貸し出し、残りを準備金として保有します。準備率が高いと、銀行が貸し出すお金が減り、貨幣乗数が低くなります。逆に、準備率が低いと、銀行が貸し出すお金が増え、貨幣乗数が高くなります。
マネーサプライMの式に変更すると
以下のような式になります。
現金預金比率とは?
銀行が預金のうち実際に現金として保有する割合を指します。この比率が高いと、銀行が預けたお金を現金として保有しているため、貸出の余地が減り、貸出利回りが低下します。逆に、現金預金比率が低いと、貸出の余地が増え、貸出利回りが上昇します。
銀行は貸すことで利益を生み出しているため、利回りを下げてでも貸したいのです。
例えば
ある銀行が現金保有高が1000万円で、預金残高が1億円の場合、現金預金比率は10%となります。 RR = 1000万円 ÷ 1億円 = 0.1
ちなみに
2008年にマネーストック統計の見直しが行われた。ゆうちょ銀行への要求払預金がM1に含まれるようになった。