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投資や政府支出の変化が国民所得に与える影響に関して説明する。投資や政府支出を増加させることによって、均衡国民所得はその各指標の何倍の効果受けるのか??乗数効果に関して説明する。
乗数効果とは?
政府支出Gや投資Iなどの各要素の増加が国民所得を何倍に増やすことができるのかという効果のこと。
投資乗数
投資(設備投資など)が増加する。結果的に総需要が拡大する。それに伴い、総供給も拡大する。結果的に均衡国民所得が増加する。
導出方法は以下のとおり

上記式より投資の増加分の1/(1 – c)倍、均衡国民所得は増加する。1/(1 – c)を投資乗数と呼ぶ。
企業の設備投資などが増加する。👉企業が新たな付加価値を生み出す。👉企業得た収益が従業員や株主へ還元される。
政府支出乗数
政府支出(公共投資)も投資乗数と同様の考え方である。

政府支出(公共投資)が増加すれば、増加分の1/(1 – c)倍均衡国民所得は増加する。
租税乗数(定額税)
投資や政府支出(公共投資)が増加したときに均衡国民所得が増加するのに対し、租税は減少すると国民所得が増加する。また、租税が増加すると、国民所得が減少する。

上記式より、租税乗数は -c/(1 – c) である。
租税乗数は投資乗数、政府支出乗数よりも
小さい
(0<c<1 である)
減税を行うことよりも、それと同額の投資や政府支出(公共投資)を行う方が、
国民所得を増加に繋がる。
均衡予算乗数
政府支出(公共投資)を行う場合、財源確保が必要である。その手法として、国債発行や増税によって、資金調達が行われる。
以下、均衡予算(歳出=歳入の財政状態)の状態。

均衡予算乗数とは?
政府支出と同額の増税を行い、資金調達を行なった。その場合に均衡国民所得はどの程度増加するかという指標のこと。

政府支出乗数(投資乗数)と租税乗数を足し合わせる。(増額分を同額として)その結果、以下式が導かれる。

政府支出を増加させるために増税を行う。(=増税は消費を減らす)政府支出乗数の方が大きい。そのため、政府支出Gに対して、その1倍だけ国民所得を拡大させることがわかる。
均衡予算乗数の定理
歳出(政府支出)と歳入(増税)を均衡(同額)させるように、政府支出と増税を行なう。その場合に国民所得が政府支出の増加分と同額だけ増加すること。(ただし、租税は定額税であることに注意)
まとめ
各ケースの場合の乗数を以下の表にまとめる。

また、1/(1-c+m) を外国貿易乗数と呼ぶ。