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経済的出来事の影響指数である、乗数効果の基本的な概念や数式、そして具体例について誰も、1分間で理解できるように解説します。
乗数効果とは?
乗数効果は、ある経済的出来事によって引き起こされた支出や収入の変化が、GDPなどの経済指標にどの程度影響を与えるかを評価する指標です。
具体的には、投資、政府支出、租税、そして外部需要の変化などによって、その変化がどの程度経済全体に波及するかを分析するために用いられます。
例えば
政府が100億円の公共事業を行うことになったとします。
この場合、公共事業によって生み出される支出は、建設業者への賃金や材料の購入などによって他の企業にも支出が発生し、また、建設業者や材料メーカーなどが受け取った支払いをもとに、彼ら自身が消費や投資を行うことになります。
代表的な乗数効果
経済学における代表的な乗数効果には、以下のようなものがあります。
投資乗数
投資(設備投資など)が増加すると、それに応じて生産や所得が増加することで、最終的な経済活動の増加につながる効果のことを指します。
それに伴い、総供給も拡大し、結果的に均衡国民所得が増加します。
導出方法は以下のとおり
1/(1 – c)が投資乗数 を示します。
企業の設備投資などが増加し、企業が新たな付加価値を生み出し、企業得た収益が従業員や株主へ還元します。
政府支出乗数
政府が支出(公共投資など)を増やすと、それに応じて所得や雇用が増加し、その結果として生産の拡大が生じることで、最終的な経済活動の増加につながる効果のことを指します。
恒等式は以下のとおり
政府支出(公共投資)が増加すれば、増加分の1/(1 – c)倍均衡国民所得は増加します。
租税乗数(定額税)
税金が増加すると、それによって所得が減少し、その結果として消費や生産が減少することで、最終的な経済活動の減少につながる効果のことを指します。
恒等式は以下のとおり
租税乗数は -c/(1 – c) と示す。
ちなみに
租税乗数は投資乗数、政府支出乗数よりも小さくなります。(0<c<1の場合)



つまり、減税を行うよりも、同額の投資や政府支出(公共投資)を行う方が、国民所得を増加に繋がる
均衡予算乗数
政府が支出(公共投資)を増やす場合、それに伴って税収も増加(財源確保)することで、結果的に財政状況が変化しない場合においても、最終的な経済活動の拡大が生じる効果のことを指します。
※財源確保の方法としては、国債発行や増税などがあります。
以下に、均衡予算(歳出=歳入の財政状態)の状態を示します。
図で説明
政府支出(G)と同額の財源確保(=増税)を行なった場合の事例を以下で解説します。
増額分を同額として、政府支出乗数(or投資乗数)と租税乗数を足し合わせます。その結果、以下式を導くことができます。
政府支出の額だけ、国民所得を増加させることができます。
これらの現象を均衡予算乗数の定理と言います。
均衡予算乗数の定理
政府支出や投資(歳出)と増税(歳入)を同額で行なった場合、政府支出の増加によって生じる最終的な所得の増加が、政府支出の増加額と等しくなる場合があるという経済学の定理です。
つまり、政府支出の増加が税収増加によって完全に補償され、財政赤字や財政黒字の変化がない場合、政府支出の増加が引き起こす所得の変化は、政府支出の増加額と同じだけとなるということです。この定理は、財政政策の効果を評価する際に重要な役割を果たします。
まとめ
各ケースの場合の乗数を以下の表にまとめます。
また、1/(1-c+m) を外国貿易乗数と呼ぶ。
m:限界輸入性向