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社会的総余剰
社会的総余剰とは、消費者余剰と生産者余剰から構成される。
社会的総余剰 = 生産者余剰 + 消費者余剰 + 政府の余剰
余剰とは??
余剰とは簡単に言うと、当事者が取引によって得られる利益のことである。
生産者余剰
供給者側が取引によって得る利益のこと。
生産者余剰 = 収入(価格×生産量) ー 可変費用 VC
※固定費用は取引きに関係なく発生するため、考慮しない。(家賃や設備費用など)
図で解説
下図は完全競争市場下を想定している。
完全競争市場下において、価格P1が成立している場合、供給曲線S(=限界費用曲線MC)から供給量はS1とわかる。
生産者余剰は収入ー可変費用であるので、以下式で導出ができる。
生産者余剰=収入(P1×S1)- 可変費用 VC
※Aの面積に該当する。
限界費用
生産量を1単位増加させたときに追加的発生する費用のこと。
例えば
TC(x)から導出した、限界費用曲線 MC(x)より導出する。生産量が1台から2台へ増加した際に追加的で発生する費用は?つまり、限界費用は?
答え
MC = MC(2)- MC(1)
限界費用曲線の導出
費用関数 TC(x)を微分することで導出できる。MC(x)=TC”(x)
消費者余剰
消費者側が取引によって得る利益のこと。便益ともいう。
消費者余剰 = 支払うつもりの額 ー 実際に支払った額
※消費者が支払わずに済んだ額とも考えられる。
図で解説
下図に需要曲線 Dを示す。そこから、消費者余剰を求める。

ある価格P1が成立しているとき、需要曲線 D から需要量(数量)はD1と決定する。
消費者余剰は支払うつもりの額 ー 実際に支払った額であるので、以下式で導出ができる。
消費者余剰 = D1時に支払予定金額 ー 支払金額(P1×D1)
=(A+B)ー B = A
※Aの面積に該当する。
余剰分析
図の形状は完全競争市場下と政府介入がある場合が考えられる。
完全競争市場下の場合
完全競争市場では、政府の介入がない(政府余剰 = 0 )ときが社会的総余剰が最大となる。図に示す状態のときである。
政府介入下の場合
政府介入には主に課税と補助金による政策が存在する。
課税による政府介入
生産1単位につき、t円課税された場合の社会的総余剰への影響を検討する。
消費者の支払い価格
課税によって、上昇する。(P0 → P1)
生産者の受取価格
課税分、下落する。(P0 → P2)
生産者余剰 = △P2OF
= □P2OQ1F(課税後の収入) ー △OQ1F(可変費用)
政府余剰(税収)= □P1P2FB
課税という政府介入によって、消費者・生産者双方の余剰は減少する。
補助金(価格規制)による政府介入
下図では、市場均衡価格がP0からPdへ価格規制が行われ、超過需要が発生し、供給量と需要量が不均衡状態である。補助金で不均衡の解消を行う。

生産者余剰 = △PsOB
= □PdOD1B(消費者からの収入) + □PsPdEB(補助金)ー △BOD1(可変費用)
消費者余剰 = △CPdE
= □COD1E(支払予定額) ー □PdOD1E(支払額)
政府支出 =ー□PsPdEB(補助金)
社会的総余剰=生産者余剰 + 消費者余剰 + 政府支出
=△COA ー △AEB
※価格規制前の社会的総余剰は△COAである
死荷重 =△AEB
=規制前の社会的総余剰 ー 規制後の社会的総余剰
=△COAー(△COA ー △AEB)
今回のように、価格規制で需給バランスを調整するために政府が補助金を活用する場合があるが、社会的総余剰は規制前に比べて減少してしまう。
価格の下限規制
完全競争市場においての均衡価格はP0、均衡量はQ0である。ここで、均衡価格より高いP1の水準で価格の下限が規制されたとする。取引量はQ1に減少する。

生産者余剰は□P1OFGである。生産者余剰=収入ー可変費用