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為替レートの決定方法について、誰でも、1分間で理解できるよう解説していきます。
為替レートの決定方法には、金利平価説と購買力平価説があります。それぞれの決定方法の特徴について、数式や具体例、メリット・デメリットについて解説をしていきます。
金利平価説
金利平価説とは、2つの国の金利(短期金利)の差が為替レートに影響を与えるとする理論です。
具体的には、高い金利を持つ国の通貨は需要が高まり、需要に応じて価値が上昇し、逆に低い金利を持つ国の通貨は需要が低下し、価値が下落するとされます。
例えば
アメリカの金利が2%、日本の金利が0.1%の時に1ドル=110円だっとします。その後、アメリカが金融引締め政策を行い、金利が4%になったとき、為替レートはどうなるでしょうか?
アメリカの金利が4%になった場合、為替レートは1ドル=110円よりも、アメリカドルが円に対して高くなる方向に変動すると予想されます。(1ドル=130円など)
※具体的な為替レートは市場の需給バランスや世界経済情勢などの影響を受けるため、確定的なものではありません。
購買力平価説
商品やサービスの価格水準に基づいて、異なる国の通貨間の為替レートを決定する理論です。
具体的には、同一の商品やサービスを異なる国で購入した場合の費用を比較し、価格水準が均衡に達するように為替レートが決定されると考えられます。
つまり、各国の物価水準をもとに為替レートが決定される理論です。
絶対的購買力平価説の数式は以下の通りです。
為替レート = 国内の価格(物価) / 外国の価格(物価)
相対的購買力平価説の数式は以下の通りです。
為替レート = 変化前の為替レート ✖️ 為替レートの変化率
(為替レート変化率 = 国内物価上昇率 – 外国物価上昇率)
例えば
日本のりんごとアメリカのりんごがあるとします。日本のりんごの価格が100円で、アメリカのりんごの価格が1ドル(現在の為替レートで110円)だとすると、購買力平価説に基づく為替レートは1ドル=100円になります。
日本のりんごの価格が150円に値上げした場合、購買力平価説に基づく為替レートは1ドル=150円となり、円安になります。
まとめ
最後に為替レート決定の方法である、金利平価説と購買力平価説の比較をまとめます。
金利平価説 | 購買力平価説 | |
---|---|---|
概要 | 同じ商品を異なる国で買う場合、金利差によって為替レートが決定する理論 | 同じ商品を異なる国で買う場合、商品価格の比較によって為替レートが決定する理論 |
数式 | E = (1 + i国A) / (1 + i国B) | E = P国A / P国B |
メリット | ・簡単に計算できる ・金利変動の影響を受けやすいため、市場の動向が読みやすい |
・商品の価格比較によって為替レートが決まるため、実際の経済活動に近い ・消費者物価指数などが利用できるため、より正確な為替レートの予測ができる |
デメリット | ・実際の市場では金利差だけでなく、政治的、経済的な要因が為替レートに影響するため、予測が難しい ・国の経済指標や政策変更などの情報を常に追う必要がある |
・商品の選定によって為替レートが変わるため、どの商品を基準にするかによって結果が異なる可能性がある |
金利平価説は金利差によって為替レートが決定するため、市場の動向が読みやすい反面、実際の市場では金利差以外にも政治的・経済的な要因が為替レートに影響するため、予測が難しいというデメリットがあります。国際取引や外国為替市場においては、金利平価説がより重要視されます。短期的な為替レートにおいて有効です。
一方、購買力平価説は商品価格の比較によって為替レートが決定するため、実際の経済活動に近いというメリットがあります。また、消費者物価指数などが利用できるため、より正確な為替レートの予測ができます。ただし、商品の選定によって為替レートが変わるため、どの商品を基準にするかによって結果が異なる可能性があります。長期的な視点から見た場合、購買力平価説がより適切な為替レートの予測につながることがあります。