投資や事業の評価
投資とは、経済的な効果が長期間に及ぶ支出のこと。
以下のような特徴がある。
- 金額が大きい
- 将来の長期間にわたって企業の業績に影響を及ぼす
投資の対象としては、土地、有価証券、研究開発などが挙げられるが、企業の本来の目的は製品の生産・販売であるため、設備投資こそが最も重要な投資である。
設備投資のプロセス
設備投資のプロセスをいかに示す。

① 目的の明確化
設備投資によって、達成しようとする目的を明確にする。具体的には、生産能力の拡張や省力化などがあげられる。
② 設備投資案の探索
目的に適合する設備投資案を作成する。例えば、生産能力を拡張するという目的をとっても、新工場を建設するor現在の工場を拡張するか、機械設備として何を揃えるか、機械設備は購入するor自製するなどさまざまな選択肢がある。これらの諸点について検討する。
③ 設備投資案の評価と選択
②で作成した各設備投資案について、さまざまな観点から事業性評価して最も有利な案を選択する。(PIRRなどによる評価を行う。)
④ 資金調達
設備投資には巨額の資金が必要になるため、増資、社債、借入金などによって調達を行う。
⑤ 実行
設備投資案を実行に移す。実行後は、予定額以内の投資で設備を取得できる or 期待したとおりの効果をあげているかを監視することが必要である。
投資投資案の評価と選択
設備投資案の評価と選択の意思決定は企業の今後の未来を決定する選択と同義であるため、非常に難しく、責任のある分野である。
※一度投資されたお金は簡単に変更する事ができない。投資時点で慎重に決定する事が求められる。

正味現在価値法(NPV:Net Present Value Method)
正味現在価値法(NPV)は現在最も利用価値の高い投資評価基準である。将来得られるCFをすべて現在価値に割引き、現在価値の合計金額を算出する。合計金額から初期投資額を差し引き、NPV >0である場合は投資案は採用という投資評価基準である。
例題 3年間でCFからNPVを算出する方法
下記のような、3期末までの現在価値までのNPVは1期末、2期末、3期末で得られるCFを現在価値に割り引く。

その現在価値の合計額から初期投資額を差し引いた12.59がNPVである。
例題2
設備投資額は、20,000万円、耐用年数は5年である。残存価額はゼロと見積もられた(各年の減価償費は4,000万円、耐用年数経過後の設備の売却見積額は0円とする。)
これらの条件から、将来のキャッシュフローの現在価値を算出すると、以下のようになる。5期末までの将来キャッシュフローの合計金額は19,708万円となる。ここから設備投資額20,000万円を差し引く。正味現在価値(NPV)は ー292万円となる。投資不適合案件。
回収期間法(PP:Payback Period Method)
回収期間法とは、投資額の回収期間を求め、それが満足し得る期間であるときはその投資代替案を選択する。回収期間が短い案が投資における判断基準になる評価方法である。
各年度のキャッシュフローが均等額の場合

例
投資額が100,000、CF(キャッシュフロー)が3年間にわたって毎年均等額の40,000が発生する。
回収期間は100,000/40,000より2.5年である。
各年度のキャッシュフローが均等額出ない場合
設備投資額を、各年度のキャッシュフローで充当しながら、回収完了期間を計算する。
例
投資額が100,000、CF(キャッシュフロー)は1年目30,000、2年目40,000、3年目50,000の場合は?
- 投資後1年目 100,000ー30,000=70,000
- 投資後2年目 70,000ー40,000=30,000
- 投資後3年目 30,000/50,000=0.6年
したがって、回収年数は2.6年である。
問題点
回収後のキャッシュフローは無視している。
取替投資の評価
取替投資の考え方
特殊原価
機会費用
機会費用とは、選択されなかった選択肢のうちで最善の価値のこと。ある事業を選択することによって、別の事業機会を失うような場合、失ったほうの事業から得られる収益が該当する。
例
駐車場として利用している土地が毎年100万円のCFをもたらすとする。この土地に建物を建てると、毎年の賃料が200万円を得られるならば、投資によって増加する毎年のCFは差引きで100万円となる。
この場合の機会費用は建物賃貸事業を選択することによって、失われる駐車場事業からのCF100万円が該当する。
つまり
新製品(新事業)への投資によって、既存の製品(事業)のCFが減少する場合、減少するCFは新製品投資のCFに反映させる。