誰でも、1分間で理解できる 剰余金の配当

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株主にとって重要な剰余金の配当について、どのように配当額が決定されるのか、またどのような制限があるのかについて解説します。会社と株主の両方にとって重要な要素である配当政策について、詳しく知っておくことが投資戦略の成功につながるかもしれません。

 

剰余金の配当

会社が利益を生み出した際に、株主に対してその利益の一部を分配する方法の1つです。具体的には、会社が利益を上げた場合、その利益から必要な費用や税金を差し引いた残りの金額が「剰余金と呼ばれ、そのうち一定の割合を株主に配当することができます。

 

いくつかの制限

剰余金の配当には、会社法に基づいていくつかの制限があります。以下に具体例を挙げて解説します。

目次

資本金の4分の1までの配当制限

会社法により、剰余金の配当額は、その年度の純利益によって決定されますが、資本金の4分の1を超える配当はできません。

例えば

資本金1億円の会社であれば、その年度の純利益が2億円だった場合でも、配当額は2500万円を超えることはできません。

過去の積立金を考慮した配当制限

剰余金の配当には、過去に積み立てた利益準備金繰り延べ税金などを考慮する必要があります。会社法により、剰余金の配当には、過去に積み立てた準備金を考慮することが求められます。また、繰り延べ税金がある場合には、その額を配当額から差し引く必要があります。

例えば

ある会社の前年度の純利益2億円でした。法定準備金5000万円利益準備金2000万円でした。繰り延べ税金5000万円です。

当期の純利益3億円です。この場合、配当額2億円です。

計算例

前年度の積立金 = 前年度の法定準備金 + 前年度の利益準備金

= 5000万円 + 2000万円 = 7000万円

当期の剰余金 = 当期の純利益 – 前年度の法定準備金 – 利益準備金 – 繰り延べ税金

= 3億円 – 5000万円 – 2000万円 = 1億円

 

配当金額 = 当期の剰余金 – 前年度の積立金

= 1億円 – 7000万円 = 3,000万円

最低限度の配当制限

会社法には、最低限度の配当制限があります。これは、株主が会社に出資することで、会社の運営に貢献していることを考慮して、会社が一定の利益を上げた場合には、その一部を株主に配当することが求められるものです。最低限度の配当制限は、純利益の5%を下回る配当は認められないと定められています。

例えば

ある会社が前年度の純利益が2億円で、当期の純利益が3億円であるとします。この場合、最低限度の配当制限は、前年度の純利益の5%に相当する1000万円以上の配当を行うことが求められます。ただし、会社が将来の事業拡大リスク回避のために、配当を控えることが必要と判断した場合には、この制限を下回る配当も可能となります。

1/10分のルール

剰余金の配当によって減少した剰余金の10分の1の額を利益準備金として計上します。

例えば

ある会社が前年度の純利益が1億円で、当期の純利益が2億円であるとします。前年度の利益準備金が5000万円法定準備金が2000万円である場合、当期の剰余金は約3億円となります。

しかし、

前年度の積立金も考慮すると、その額が7500万円となるため、当期の剰余金から差し引く必要があります。その結果、当期の配当額は、2億2500万円となります。

剰余金の配当によって減少する剰余金の10分の1の額は、2250万円です。この額を利益準備金として計上するため、剰余金から差し引いた後の額から10分の1を引いた額を利益準備金として計上します。

つまり、

剰余金から7500万円(前年度の積立金)を差し引いた2億2500万円から、2250万円(10分の1)を引いた2億2750万円が、配当後の剰余金となります。

そして、このうち2250万円を利益準備金として計上します。

 

まとめ

剰余金の配当には、過去に積み立てた準備金繰り延べ税金を考慮する必要があります。配当額は、当期の剰余金から前期の積立金を差し引いた額になります。また、剰余金の配当によって減少する額の一部を資本準備金や利益準備金として計上することが求められる場合があります。

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