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このページでは、貸倒引当金の具体的な計算方法や重要性について誰でも、1分間で理解できるように解説しています。
貸倒引当金
企業が貸し倒れや不良債権などに備えて、貸し出したお金の一部をあらかじめ計上しておくことで、将来的に発生する損失に備えるための資金を確保することを目的とした会計処理のことです。
具体的には?
以下のような流れで計算されます。
STEP1
貸し出し金額の全体に対して、一定の割合を貸倒引当金として計上します。この割合は企業によって異なりますが、貸し出し金額の1%~5%程度が一般的です。
STEP2
貸し出し先からの返済が滞った場合や債務不履行が発生した場合には、貸倒引当金から債権の不良な部分を引当てます。具体的な引当額は、貸し出し先ごとに別々に計算されます。
STEP3
最終的に、貸倒引当金に残っている金額が、企業の債権に対する損失をカバーするための資金として使われます。
例えば
企業Aが1,000万円の貸し出しを行った(企業Bへ)場合、貸倒引当金率を2%として計算すると、貸倒引当金額は200万円になります。その後、貸し出し先Bが100万円の債務不履行を行った場合、企業Aは貸倒引当金から100万円を引当てることになります。
この結果、貸倒引当金には100万円が残り、企業Aはこの資金を使って債権の損失をカバーすることができます。
貸倒引当金の仕訳
以下に、決算整理前残高試算表を例に示す。
<決算整理前残高試算表>
勘定科目 | 金額(円) |
---|---|
売上高 | 5,000,000 |
売上原価 | 2,000,000 |
販売費及び一般管理費 | 1,000,000 |
研究開発費 | 500,000 |
貸倒引当金 | 300,000 |
… | … |
合計 | 9,800,000 |
貸倒引当金勘定科目の残高が300,000円である
仕訳
借:貸倒引当金 300,000円
貸倒引当金は通常、借方への計上となります。これは、貸倒引当金が、将来の不渡り債権に備えて設定される準備金であるためです。
貸倒引当金の整理方法
決算整理前試算表の整理方法には、洗替法と差額補充法の2種類があります。
洗替法
未収入金や未払費用など、本来は他の勘定科目に計上されるべきものが貸倒引当金に計上されることにより、貸倒引当金の設定額を抑える方法です。
例えば
以下に、決算整理前残高試算表を例に示す。なお、貸倒引当金率を2%に設定する。
決算整理前の貸倒引当金残高を全額収益(借方)に戻し入れます。そのため、貸倒引当金の減少、貸倒引当金戻入益(収益)の増加として処理を行います。
ちなみに、貸倒引当戻入益に関しては以下記事を読んでみてください。
次に、貸倒引当金の貸倒見積高(=売掛金✖️貸倒引当金2%)を全部繰り入れるので、貸倒引当金の増加および貸倒引当金繰入額(費用)の増加として処理を行います。
決算整理後残高試算表は
貸倒引当金の増加、および貸倒引当金繰入額(費用)の増加として処理する。
差額補充法
前期と今期の利益の差額を前期の財務諸表に反映させる方法です。前期の利益に今期の差額を加えて当期の利益として計上します。
例えば
以下に、決算整理前残高試算表を例に示す。なお、貸倒引当金率を2%に設定する。
貸倒見積高(=売掛金✖️貸倒引当金率:2%)になるように決算整理前の貸倒引当金残高に加減算して調整を行います。
したがって、決算整理前の貸倒引当金残高150円を要設定額(=貸倒見積高)200円にするために50円だけ繰り入れるので、貸倒引当金の増加および貸倒引当金繰入額の増加として処理を行います。
決算整理後残高試算表は
まとめ
貸倒引当金とは、貸し出したお金に対して予想される債務不履行リスクに対するリザーブ(引当金)であり、貸し出し先の信用状況や市況変動などを考慮して計算されます。
一般的には、信用リスクが高い貸し出し先への貸し出しに対してはより高い引当金を設定します。
したがって、企業としては貸し出したお金+αの額をあらかじめ用意しておく必要があります。